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ぬか漬け(2回目)

ぬか床は、微生物の住みかである。実に発酵ぬか1g10億もの微生物がひしめいていると言われる。それでその10億の中で最大多数を占める微生物は、乳酸菌である。

 

ぬか床の乳酸菌は植物性。乳酸菌と言えばチーズやヨーグルトという動物性が馴染み、となったのは日本の歴史ではまだ最近のことで、代々乳酸菌と言えば漬物、つまりは植物性乳酸菌に分があった。

 

乳酸菌はぬかを養分としてエネルギーを生産して、増殖する。その副産物がぬか床特有のうま味であり、いろんな栄養素である。そしてこの一連のプロセスのことを、発酵と呼ぶ。

 

ぬか床の中の微生物は、乳酸菌ばかりではない。中には腐敗を促す微生物もいる。つまりぬか床内には、善玉もいれば悪玉もいるわけである。あるいは中には、日和見菌というどっちつかずな菌もいるのだとか。日和見菌とはもちろん通称だが、これは環境によって作用の仕方を変える、そういう菌のことである。なんだか人間と似ているんだが、とどのつまり、生物はその大小に関わらず日和見的性質を備えている、と考えるのが自然な気がしている。

 

話が逸れた。

 

要するに、ぬか床は時々刻々と変化する。

 

ぬか床内の微生物は普段、微生物同士集まって棲息している。この集合体のことを菌叢(きんそう)と呼ぶ。菌叢の叢は、クサムラとも読む。地域社会みたいなものか。この微生物のクサムラがしっかり機能しないと、ぬか床はすぐにバランスを崩す。

 

ぬか床をかき混ぜていると、ぬか床内部で場所により味や発酵度合いが違うのがよくわかる。酸っぱいところやうま味の強いところ、なかには腐っているのか?、という部分もあったり。

 

つまりぬか床は、一時たりとも同じ状態ということはない。

 

あるとすれば、変化を前提とした、一時安定している状態があるだけである。

 

この頃はぬか床内の乳酸菌の中で安定的に活動する種類の乳酸菌も見つかっているらしいが、その乳酸菌を常態的に優位にさせておくのは難しい。なにせ10億もいるんだから。ただ、その安定のために人間ができることはある。それが、ぬか床をかき混ぜる、という単純作業である。

 

悪玉菌はおおむね、空気を好む。だから絶えずかき混ぜてやることが腐敗を防ぐことに繋がる。人間にできるのは、そのくらいだ。それでも腐るときは腐る。けれどもその、腐るときは腐る、ということも踏まえた上でかき混ぜる、というのもきっと大事で、もしかしたら、腐らせてたまるかというその一念が、ぬか床を腐りにくくもするんじゃないかと、思っていたりする。

 

乳酸菌をふんだんに蓄えたぬか漬けは、体にいいと言われる。その活躍の場は腸。腸は酸性で活動的になるから、だから酸性の乳酸菌がいいわけである。そして乳酸菌は腸内でも、消化と代謝という人間の体内二大事業に関わって、そのためのエネルギーを作り出す。まさにぬか床内で起きていたことをもう一度、しかもダイナミックに、腸内で再演するわけである。

 

分解して、発酵して、エネルギーを作り出して、そうして人間を生かした乳酸菌は、命を終える。乳酸菌にエネルギー生産を担ってもらった人間は、それにより動けるようになるわけである。

 

というわけで、そういうわけ。

 

まったくノリの悪い文章だが、そういうこと。これにておしまい、でもいいが、個人的興味は動けるようになった人間のその後、にあったりして。つまりはそうやって動けるようになったそやつは、善玉菌なのか悪玉菌なのか、あるいは日和見菌なのか、という話。人間を菌に見立ててみたらどうか、という。

 

それはおそらく、やっぱり、善玉のときもあれば悪玉のときもあって、実に日和見的なもんなのだろう。

 

そう考えるのが自然である。

 

要するにこの、まずはひとまず生物としての日和見的性質を受け入れる、というところからしか万事始まらないと、結局また、話は逸れる。いや、逸れちゃいない。それが言いたいことなんだから。

 

確固としたものしか信じられなくなったら窮屈でしょ。

 

ぬか床も己のパーソナリティーも揺れ動くんだから。

 

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このページは、堀澤宏之が2012年1月26日 09:32に書いたブログ記事です。

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