2009年7月アーカイブ

第二回「中央銀座商店街」

今は昔。中央銀座.JPG
中央銀座通り商店街と言えば、高崎市民が、真っ先に連想するのは映画館であった。
「東映、東宝、松竹、オリオン」
と言えば、高崎市における映画館四天王。
小学生時分の夏休みには良く通ったものだ。
アニメや特撮、邦画に洋画。
4館とも当時から、かなり老朽化しており、その佇まいはもはやアヤシイを通り越して、アヤウイ雰囲気を醸し出していた。
それでも夏休み時期などは、連日立ち見が出る程の盛況ぶり。

 すし詰めで冷房が効かなくなった、蒸し風呂状態の館内。
スクリーンの前をドタバタ走り回る子供。頻繁に開く扉の光。館内に立ちこめる、どこか黴臭く、淀んだ空気。
 そんな劣悪な環境だったが、席に着いてから、「映画の中」へ行くのには左程、影響は無かった。
むしろ、その様な「空間の妙」の効果によって、緩やかに銀幕世界へ吸い込まれて行く様だった。

 映画を観終わると、まだ外に「ゴジラ」のしっぽ位見えるのではないかと、興奮気味に映画館の外の中央銀座のアーケード商店街に飛び出す。
するとそこには、人気も疎らなシャッターが閉まった往来と、宵闇が染み込んだ、商店街があった。
 ヌメッと怪しく灯る赤提灯や、横路の暗がりに立っている、全体的にキワどい感じのお姉さんが、商店街を「夜の顔」に化粧させていた。

 それは、映画の世界から大人の世界への回遊。
あの頃の映画入場券はまさに、色んな世界への回遊乗車券だった。
しかし時は経ち、2003年まで持ち堪えたオリオン座閉館をもって、この高崎映画館四天王は全滅。
 その幾つかは取り壊され、跡形も無くなっている。
同時に、商店街の「味」も無くなった。
その最大の要因として、郊外に次々造られる大規模な複合映画館である、シネマコンプレックスの新設ラッシュが挙げられる。

 ここで、なぜか本日はキーボードを打つ手もラッシュしている様で、いつの間にか要点を掴めていない、ダラダラ型の長文になってしまった。
 そろそろ我が思考体力もスタミナ切れ、文章展開もクリンチ気味になってきたので、畳み掛ける。

 とどのつまり、路地裏横丁を排除した「都市計画」やら、「まちづくり」は、味気ない。
子供時分から、この商店街の盛衰を傍観してきて、そう感じる。
この味気なさが、街中に息づく味を、構造的に破壊して行く。
B級なモノを淘汰する文化が生む、敗者復活の出来ない社会。
それは、あの頃の映画が示唆していた社会ではあるまいか。

 この商店街を歩くと、今でも、ポケットの中に回遊乗車券が入っていないか、ふと、気になる。
取り壊されて、跡かたも無い映画館の前に立ち、ポケットにそっと手を入れてみる。

 

筆者 抜井諒一

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