2009年11月アーカイブ

第五回「シネマテーク高崎」

シネマテーク.JPGそれをどう例えたら良いか。
巷の風俗で、私なりに言えば、近代的な「スーパー銭湯」と昔ながらの「銭湯」と言える。
風呂利用者にとって、スーパー銭湯は、成程、理に適った施設である。
館内が広く、綺麗で、サウナなどの温浴設備が充実している。
比べて、路地裏に在る昔ながらの銭湯。
狭く、お世辞にも綺麗と言えない銭湯もあるし、浴室には大抵、浴槽が一つ。
来客数の差を見れば、どちらに世間の風が吹いているかは明白である。

しかし、しかし。
風呂好きな者が好むのは、実は、設備が数段劣る、昔ながらの銭湯だったりする。
好む理由がある。
それは勿論、スーパー銭湯には無い魅力があるから。
昔ながらの銭湯でしか味わえない味があるから、風呂好きな者は好んで行くのである。
挙げれば、入浴料の安さ、室内の古めかしさ、浴室のダイナミックな富士山のペンキ絵、
番台のおばちゃんの人情。
等々、そこでしか感じられない雰囲気を求めて、行くのである。

と、力強く句読点を付けて言い切ったが、まだ本題に入っていないので、急ぐ。
これが、街の映画館にも言える。
そう、長々前置きしてきたが、これが言いたかった。
この「街中レポート」の第2回にも書いたのだが、かつて高崎市街地には、映画館が4館あった。
「東映、東宝、松竹、オリオン」
と言えば、現在30代より年上の上州人は何となく頷けるだろう。
それが現在は一つも残っておらず、映画と言えば、郊外のシネコンで観るのが当たり前。

しかし、しかし。
と、先と同じ調子で芸が無いが、街の映画館の灯は有る。
それを受け継いでいるのが、あら町に在る「シネマテーク高崎」である。
シネマテークでは、地方ではなかなか観られない作品や、郷土の関連ある作品など、
ミニシアターならではの、映画ファン好きする作品を上映している。
まさに、ここでしか観れない映画ばかり。

エンドロールが流れ終わり、館内がぼわっと明るくなる。
その瞬間、観客は銀幕の世界から現実の世界へ戻るのだが、
脳裏には未だ、作品の余韻が、上等な酒を飲んだ時の様に残っている。
映画のそんな余韻に酔いしれたい時、私は、味のある映画館を選択する事にしている。

筆者 抜井諒一

2010年1月

          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

カテゴリ

ウェブページ