第五回「シネマテーク高崎」

シネマテーク.JPGそれをどう例えたら良いか。
巷の風俗で、私なりに言えば、近代的な「スーパー銭湯」と昔ながらの「銭湯」と言える。
風呂利用者にとって、スーパー銭湯は、成程、理に適った施設である。
館内が広く、綺麗で、サウナなどの温浴設備が充実している。
比べて、路地裏に在る昔ながらの銭湯。
狭く、お世辞にも綺麗と言えない銭湯もあるし、浴室には大抵、浴槽が一つ。
来客数の差を見れば、どちらに世間の風が吹いているかは明白である。

しかし、しかし。
風呂好きな者が好むのは、実は、設備が数段劣る、昔ながらの銭湯だったりする。
好む理由がある。
それは勿論、スーパー銭湯には無い魅力があるから。
昔ながらの銭湯でしか味わえない味があるから、風呂好きな者は好んで行くのである。
挙げれば、入浴料の安さ、室内の古めかしさ、浴室のダイナミックな富士山のペンキ絵、
番台のおばちゃんの人情。
等々、そこでしか感じられない雰囲気を求めて、行くのである。

と、力強く句読点を付けて言い切ったが、まだ本題に入っていないので、急ぐ。
これが、街の映画館にも言える。
そう、長々前置きしてきたが、これが言いたかった。
この「街中レポート」の第2回にも書いたのだが、かつて高崎市街地には、映画館が4館あった。
「東映、東宝、松竹、オリオン」
と言えば、現在30代より年上の上州人は何となく頷けるだろう。
それが現在は一つも残っておらず、映画と言えば、郊外のシネコンで観るのが当たり前。

しかし、しかし。
と、先と同じ調子で芸が無いが、街の映画館の灯は有る。
それを受け継いでいるのが、あら町に在る「シネマテーク高崎」である。
シネマテークでは、地方ではなかなか観られない作品や、郷土の関連ある作品など、
ミニシアターならではの、映画ファン好きする作品を上映している。
まさに、ここでしか観れない映画ばかり。

エンドロールが流れ終わり、館内がぼわっと明るくなる。
その瞬間、観客は銀幕の世界から現実の世界へ戻るのだが、
脳裏には未だ、作品の余韻が、上等な酒を飲んだ時の様に残っている。
映画のそんな余韻に酔いしれたい時、私は、味のある映画館を選択する事にしている。

筆者 抜井諒一

2010年1月

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